会員制度を導入しているゴルフ場において、一般客よりも優先的に利用できるゴルフ会員権では、会計上の時価と税務上の時価で考え方が異なっており、会計上では実勢価格または発行会社・ゴルフ場の財政状況に基づいて評価しますが、それが難しいケースではゴルフ会員権取引会社の評価鑑定となり、取引実績がある場合は取引金額が実勢価格になります。取引がない場合では、売却した価格と購入した価格のバランスや証券額面金額などをもとにした時価評価を用いて会計処理を実施することもあります。税務上の時価は、発行会社・ゴルフ場の1株あたりの純資産価額などを比較して評価する形になります。会計上の処理では、相場が著しく下落している場合のみ会計処理が必要で、株主会員制のゴルフ会員権については減損の処理を行いますが、株は債権ではないので貸倒引当金の対象にはなりません。
預託金会員制のゴルフ会員権に関しては、預託保証金を上回る部分については減損処理を行い、預託保証金の回収可能性に疑義が生じた場合に限り、貸倒引当金・貸倒損失の対象として会計処理を行うことが可能になります。ゴルフ会員権を取得するとさまざまな支出が発生しますが、そういった会計処理においても勘定科目や仕訳において十分に注意する必要があり、取得後も時価会計によって保有する会員権の適切な資産価値を把握していき、貸倒引当金の算定などに関しては会計上と税務上の差異をふまえながら健全な会計処理を行うことが大切になってきます。